Garden of Avalon track2 01.選定の朝
アルトリア:
いけいない
ありがとう あなたが起こしてくれたんですね
昨日は難産で心配しましたが 賢そうな目だ
きっと父さんのエトのような 立派な軍馬になれるでしょう
ハイハイ みんなの朝ごはんすぐに用意しますから
聞いてくださいエト 昨日やっとエクターから1本取れるようになったんで
いえ 少しだけ 本の1歩分を知らせただけですが
過酷な戦場であれば あれはもう1本と言っていいのはないでしょうか
でも 最近は困った顔を多く見るようになりました
騎士の鏡というべきエクターほどの人が 暗く沈むのは心配です
ああ すみません ブラシの手が止まっていました
この前に 思い切って見たのです
エクター 悩みがあるなら言ってください
食事の量を減らすこと以外ならなんでも力になりますから
やはり足腰ですか と
そうしたら
うむ それはあなたの気のせいでしょう
わしの体はあと10年は健在ゆえ
しかしアルトリア殿
その提案ではなんでもとは言えませんな と
全く動じる気配もありませんでした
そうですね きっと またケイ兄さんが問題を起こしたのでしょう
さぁ 終わりです 今日も見事な毛並みですよ エト
遅くなりました エクター 寝坊です
エクター:
その元気があれば寝坊とは言えませんな
よろしい さあ 剣を構えなさい
今朝もてもころなく鍛えましょう
マーリン:
5世紀 ブリテン島
この島は今動乱の中にあった
土地を求めて異民族であるサクソン人たちが
海を超えてきたのである
ブリテンは多く部族とその王たちによって収められた島國だ
部族間の諍いは絶えなかったものの
禁略者に対して 部族の王たちは協力しあっていた
しかし 王の一人が この结束にヒビを入れた
名は 卑王ヴォーデイガン
ブリテンの中から生じ ブリテンを滅ぼさんと生まれた 白い龍の化身である
もっとも偉大とされた王 ウーサー・ペンドラゴンは
ヴォーデイカンとの戦いに敗れ その姿を 永遠に隠してしまった
かくしてブリテンは 暗黒時代に突入する
だが 人々は希望を失っていない
偉大な魔術師マーリンが これも予言通りだと 人々に語ったからだ
ウーサー王は 後継者を選ばれている
この人物こそ 時代の王 赤き龍の化身
新たな王が現れた時こそ 円卓の騎士たちは集結し 白き龍は敗れ去る
王は健在なり その証はじき現れるだろう
それは 10年前の話だ
実のところ ウーサー王の後継者は今年で15歳になる
エクター:
アルトリア ケイが忘れ物をしたようだ
今から追いかければ間に合う
街まで出て届けるように
アルトリア:
うん 我が兄さんながら
騎士がやりを忘れるなんてあり得るのでしょうか
エクたー:
騎馬戦はすだれて久しですかなら
アルトリア:
分かりました
けい兄さんにこれを届けばいいんのですね
エクたー:
届けけるように それで今日
あなたのお仕事はおしまえです
住民:
マーリンだ マーリンがやって来たぞ
アルトリア:
マーリンが
住民:
うん 昨日来たんだ
ついにウーサー王の後継者が選ばれるだって
国中の騎士が集まってるよ
岩に刺さった聖劍を抜いた騎士が王様になるんだ
誰が抜くのかな 誰が王様になるのかな
アルトリア:
そうだったのか
さながら 選定の剣というわけですね
ケイ兄さん
ケイ:
ああ
アルトリア:
あれが選定の剣
騎士:
聖剣よ 我を選びたまえ
私は王の器ではないということ
住民:
あんな立派な騎士でもだめなのか
本当に王は現れるのかしら
ケイ:
誰にも抜くない剣だぞ
あるだけ迷惑な置物だ
王は騎士たちのリーグで決める
アルトリア:
それは
ケイ:
もう話を決まった
これがいい落としどころだろうさ
アルトリア:
王は選ばれなかったなのに ですか
ケイ:
目に見えない王の証より
手勢や金 力で測る方が人間的だ
利害目的で協力するほうが気楽でいいし
だれだって 全てを救う神の代弁者なんてもの
見たくもなければ なりたくもなかったのさ
アルトリア:
ケイ兄さんもそう思うのですか
ケイ:
もちろん お前もオヤジのどころに戻る
他の騎士に見つかればまた
女ように細い体では剣もろくに持てまいとからかわれるさ
いいか これは最初で最後のチャンスだ
お前は おとなしく家に戻れ
住民:
試合で王様を決めるんだって
見に行こうよ
俺たちも行くか
マーリンの予言はウソだったんだな
アルトリア:
誰だって 見だくも なりだくもない
なぜアルトリウスというなの男と偽って暮らしているのか
なぜ物心ついた時から剣をならい 国を学び
人として自身の望みを打ち消してきなのか
決まっている
それは全てこの日のために
王の剣を抜くために
彼女は生を受けたのだ
彼女は本当の両親の顔を知らない
理想の王という目的があり
そのために計画され 生まれたのが自分だという
実際のところ
彼女は亡き父 ウーサー王の無念とか 願いとか
そういったものに感情移入はできなかった
魔術師の教えに特別な使命感を持ち
感動することもなかった
この15年間 彼女を励まし育ててくれたのが
養父エクターと 義兄ケイとの何でもない毎日であり
街に暮らす人々の 賑わいの声だった
憧れとも愛とも違う
ただ そういったものが
彼女には良きものに映っただけ
街の一員になりたいとか その中に混ざりたいとか
そういった望みは持たなかった
時折そういう光景を思えがくことがあっても
冷静に蓋をした
それではなにもかも取りこぼすと
心の底で分かっていたからだろう
幼い頃の彼女は聡明ではなかった 懸命だったので
それだけはできないと
自分だけに言い聞かせてきた
人が人として生まれるように
龍には 龍に望まれた役割がある
ありがとう ケイ兄さん
でも ごめんなさい
マーリン:
その剣を手に取る前に
きちんと考えたほうがいい
アルトリア:
驚きました
夢の外でお会いするのは初めてですね マーリン
マーリン:
]悪いことは言わないからやめたほうがいい
それを手にしたが最後 君は人間ではなくなるよ
それだけじゃない
手にすればあらゆる人間に恨まれ
惨たらしい死を迎えるだろう
アルトリア:
いいえ
マーリン:
いいのかい
アルトリア:
多くの人が笑っていました
それはきっと間違いではないと思います
マーリン:
ああ 剣を抜いてしまったか
辛い道を選んだんだね
でも 奇跡には代償が必要だ
アーサー王よ
君はその 1番大切なものを引換にすることになる