さよなら
二人で選んだシャツの上
窓から西日が揺れる
手に取るとふわりと
またあなたの香りがした
手首の優しい溫度
頬を包む長い指
思い出しても
もう痛まない胸
そのことがふっと手を止める
どうして忘れて行くんだろう
泣きたいくらいあなたが好きだった
ねぇどうして薄れていくんだろう
あんなに胸に刻んでいても
鳥はいつか風に溶けてゆく
私は今はもう一度あなたを
失ったね
二人で見つけた丘の上
七月は花火を見たね
三流布を覗く
その度肩が觸れ合った
秘密の特等席も
何度もした指切りも
今年もまた夏は過ぎてくのに
意味を手放し遠ざかる
いつかあなたの何もかも
思い出せなくなる日が來ても
悲しいとさえも思わない
そんな私に変わっていくの
あなたがしちゃ上手く笑えないと
思ったあの日の私のまま
ここにいたい
どうして忘れて行くんだろう
泣きたいくらいあなたが好きだった
ねぇどうして薄れていくんだろう
あんなに胸に刻んでいても
愛しさはそう風にかけてゆく
私は今もう一度あなたを
失ったね