Dr.リアリスト
「『幻想(シアタ)』に満足する臆病な子豚たちよ君たちは『真実』に興味はないかね?」
――退し行く人類は知った
「『肉體(からだ)』動かす『燃(かて)』が在れば『生』謳えると信じた
しかしながら『火種(きぼう)』無くして『精神(こころ)』の火は燈せない
燈(あかり)を失った『精神(こころ)』は死神に戀をする
絶望遠ざけるために穏やかな『幻想(うそ)』が必要だった」
滅び行く人類は考えた――
「大事な『記憶(こころ)』『願い星(ステラ)』に預け『幻想(うそ)』に逃げるシステムを」
「街の秘密については、いずれ私の娘達から聞くことになるだろう。
ここから先は……」
「私の『見解(はなし)』を聞いてもらおうか」
かつて科學という『真理(せかい)』の探求をする裝置があった
かつて歴史という『真理(せかい)』に近づく試行錯誤があった
---優しい『幻想(うそ)』に抱かれたこの『劇場(まち)』をどうしても好きになれない---
『法則(かみ)』を手懐け『終焉(けつまつ)』を書き換える武器であったそれを
『妄想(うそ)』作るために拝借するなんてそれは
先人への冒涜ではないかね?
『事実(それ)』は耐え難き辛苦で 忘卻すべき忌まわしき過去なのだろうか?
『現実(やみ)』に背を向け『幻想劇場(シアタ)』に縋る 墮ちた哀れな民よ
己を封して得られる安穏 それは偽りの幸福と知れ! !
立ち向かいなさいお嬢さん 幼子のごとく耳目ふさぐのをやめて
<<真実に向かえ! >> <<劇場は幻影>> <<摂理に向かえ! >> <<劇場は『消失へ至る鏡』>>
『事実(それ)』は耐え難き辛苦で 忘卻すべき忌まわしき過去なのだろうか?
『現実(やみ)』を恐れて『幻想劇場(シアタ)』に逃げて 誇り捨てた民よ
健気に真実と闘う 若きの姿のなんと美しきことか! !
立ち向かいなさい少年よ 無気力にすべてを諦観するのは 終わりにしないか! !
人類のための幸福とは何か! ? すべての救済という理想論なのか! ?
0の終末に100の愚を犠(にえ)し 1の希望に変える事ではないか! ?
「冷酷」などではないそれは純粋な好奇心
夢幻に閉ざした『腳本(ジオラマ)』ではなく無限に広がる『可能性(パノラマ)』が見たいだけなのだ
偉大なる科學は証明する真実の探求こそ正義だと
解(ほつ)れなき歴史は証明する力無き正しさに価値はないと
「君たちが生きているだけで『未來(かて)』は消費される
それを何も生まない『妄想(うそ)』に投ずるなんて」
「全く愚かで馬鹿げた行為ではないかね?」
忌むべき過去も殘酷な現在(いま)も決して無価値なものではない
『現実(ひかり)』を知らず『楽園(シアタ)』で眠る無知で無垢なる者たちよ
この瞬間の真実に向かったものだけが『未知(やみ)』に隠れた『希望(ステラ)』と出會う
立ち向かいなさい誇り高き人類(ヒト)よ! 過酷なる『物語(いま)』受け止めて! !
『事実(それ)』はどうしようもないほどの破滅に向かう 無慈悲な未來なのだろうか?
『現実(やみ)』に怯えて『棺桶(シアタ)』に篭り最期待つだけの民よ
鼓動も情動も共にあり未だ『生命(きせき)』を営む君たちが
歩み止めるには早すぎる私が未來生み出すチャンス與えよう
君が望まぬとも! !
おやおや、また一人壊れてしまった
『真実(せかい)』を受け止めるには器が小さすぎたようだね
まあいい、『未知領域(みらい)』の開拓には犠牲は付き物さ
おっと、そろそろ行かなければ
次の『挑戦者(はいゆう)』が、舞台の上で待ちかねている