妖精といた夏
瓦礫の山に妖精を見つけた
壞れたテレビで遊んでる
無邪氣な聲がどこまでも響いた
月に一度の燃えないゴミの日
忘れかけてる優しいメロディ
あの日拾ったオルゴール
幼い胸が確かに躍った
永遠の空の下で
賴りない小さな手が觸れたものは
もうここには歸らない
あの時と同じ空なのにオルゴールの音は聞こえない
あの時と同じ風なのに僕らの歌聲はとどかない
緣石の上の背くらべは
プールからの歸り道
夕日ににじむ長い影法師
アスファルトになる前の道で
少しずつ失ってゆく
かけがえのないあの頃の寶物
あの時と同じ空なのにオルゴールの音は聞こえない
あの時と同じ風なのに僕らの歌聲はとどかない
瓦礫の山はいつしか消えた
運び去られた夢の跡
妖精達は翼をたたんだ僕といっしょに歸れなかった
僕といっしょに歸れなかった