“僕は君の夢では無いのだから”と
抉るように棘を深々と突き刺して囁いた
“私も貴方の夢では無いわ”なんて溺れた目が
何處を見ているのか、僕以外知らなくていい。
言い厭きた言葉は腐り落ちて
君の胸に染みを作り上げた
それが鎖だとは知らないまま
傷の上書きをしている。
“僕は君の夢では無いのだから”と
抉るように棘を深々と突き刺して囁いた
“私も貴方の夢では無いわ”なんて溺れた目が
何處を見ているのか、僕以外知らなくていい。
聽き厭きた言葉は錆びて朽ちて
僕の胸に穴を作り上げた
それが空しさだと知らないまま
傷に噓を重ね塗る。
“僕は君の夢では無いのだから”と
甘く擦れた鞭をしならせるように低く囁く
“私も貴方の夢では無いわ”なんて柔い聲が
何處に流れたのか、僕以外知らなくていい。
互いの心を鍵のような言葉で縫いつけてしまえば
別れが來ても醒めることは無い
“僕は君の夢では無い”なんて言葉の錘を
君に落として、もっと奧へ沈めてしまおう。
同じ言葉を交わし合いながら
一つになれる事を願った。
“私も貴方の夢では無いわ”なんて合言葉が
何處へ沈んだのか、僕以外知らなくていい。
一つになるはずだった合言葉は
誰も見つけられない厭いた言葉。