尼崎の夜空を見上げて
少し口が悪くても誰かの事を思う人の
言葉は本當に優しくて
思い出すたび笑顔になる
洗面器カタコトおばさんサンダル履いて
見上げた尼崎の夜空を
僕はたまに思い出す
「背中に絵が描いてるよ?」
子供だった僕は言った
湯気の向こうで従兄弟が
固まってたっけな
「傑作やなぁ」とおっちゃんは
とがめずに笑ってくれた
年寄りも子供もどんな人も
同じ風呂につかって
ちょうど買って帰るときの
手の中のたこ焼きみたい
思い出は今も僕の胸で
ほんのりしめって暖かい
少し口が悪くても誰かの事を思う人の
言葉は本當に優しくて
思い出すたび笑顔になる
洗面器カタコトおばさんサンダル履いて
見上げた尼崎の夜空を
僕はたまに思い出す
高速道路をトラックが
走り過ぎて行く音が
怪獣が寂しそうに泣いてる
聲みたいで不安になった
明かりのひもを二回だけ
引っぱって眠りにつく
胸の燈火とでも言うように
消さない豆電球
夜中に目が覚めた時に
オレンジに浮かぶみんなの寢顔を
見てるだけで嬉しくなって
安心してまた目を閉じた
少し口が悪くても誰かの事を思う人の
言葉はあまりに優しくて
素直になってしまう
洗面器カタコトおばさんサンダル履いて
見上げた尼崎の夜空を
僕はたまに思い出す
今日僕はどれだけ心と
同じ言葉をかけただろう
今日僕はどれだけ誰かの事
気にかけながら生きただろう
少し口が悪くても誰かの事を思う気持ちが
僕の言葉になるように
この街でがんばろう
少し口が悪くても誰かが誰かを思う
言葉が聞こえればきっと
同じ夜空になるだろう