幕間禁曲バリーゾールの子供は一人っ子
バリーゾールの息子は一人っ子
巴利索爾的兒子是獨生子
裕福な家庭の跡取りで
他是富裕家庭中的子嗣
誰もが羨む美少年
任誰都羨慕的美少年
だけど彼には問題があった
但他卻有些不對勁的地方
人形遊びが大好きで
他非常喜歡和娃娃玩耍
女の子の服ばかりを著る
總是穿著女孩子的衣服
母の部屋から道具を盜み
還會從母親的房間裏偷出道具
こっそり化粧をしたりもする
悄悄地化妝
週りの誰しもが
周遭的人們
そんな彼を遠ざけた
都疏遠著這樣的他
だから彼はいつだって
所以他不論何時
ひとりぼっち
都是獨單一人
……
バリーゾールの娘は一人っ子
巴利索爾的女兒是獨生女
千年に一度の天才児
她是千年一遇的天才兒童
六歳で大學に入り
六歲就升入大學
人の心について研究する
研究人類的心靈
止まらない犯罪や戦爭
永不停歇的犯罪與戰爭
人はどうして憎みあうか
人類為何互相憎恨
それが少しでも判ればと
為了盡可能地查明其原因
彼女は研究を続けてた
她持續進行著研究
そして彼女は気づいた
然後她察覺到了
止まらぬ『悪意』の原因を
永無止盡的『惡意』的原因
『それはこの世界にはない』と
知曉了
知ってしまった
『那並不在這個世界之中』這一點
……
バリーゾールの息子は一人っ子
巴利索爾的兒子是獨生子
彼にもついに戀人ができた
他也終於交上了戀人
勤めに來た同い年のメイド
是一位前來工作的同齡女僕
まるで人形のように可愛い
她就像人偶一樣可愛
「君の服を著させて欲しい」
「我想穿穿看你的衣服」
ある日彼は彼女に頼んだ
某一天他這麼拜託她
彼女は酷くうろたえながら
她非常地驚慌失措
「気持ち悪い」それだけ答えた
只回答了一句「真噁心」
……
バリーゾールの娘は一人っ子
巴利索爾的女兒是獨生女
彼女も『悪意』に犯され始めた
她也開始被『悪意』所沾染
何故か止まらぬ
殺人衝動不知為何無法抑制的殺人衝動
彼女は同僚に相談した
為此她找了同事商量
並行世界の
研究者平行世界的研究者
男は彼女にこう答えた
男子對她這麼答道
「『もう一人の自分』を消せば
「把『另一個自己』給除掉的話
君の『悪意』も消せるかもしれない」
你的『悪意』說不定也會隨之消失」
扉の外からは怒鳴り聲
從門外傳來了怒罵聲
彼は部屋の隅で怯えてた
他在他房間的角落裏瑟瑟發抖
室內に転がった
人形滾落在房間裏的人偶
手足はバラバラで溫かい
手腳七零八落卻又帶有餘溫
彼の目には見えていた
他從眼中看見了
鏡の中の
別世界鏡中的另一個世界
自分にそっくりな女が
和自己肖似的女性
手を差し伸べた
正從其中伸出手來
……
世界が「悪意」に呑まれた時
當世界被「悪意」吞噬之時
箱舟は宇宙へ飛び出した
方舟飛向了宇宙
七十二人の乗組員
七十二名船員之中
その中には雙子もいたという
據說也有著雙胞胎
『自分自身』を殺す直前
在殺了『自己本身』的前一刻
彼女は真実に気がついた
她察覺到了真相
これはあの男が仕組んだ
這一切都是那個男人精心策劃的
巧みな罠であるということを
一場巧妙的騙局
私がこの手を下す時
當我親自動手之時
それこそが『悪意』への入口
正是走向了通往『悪意』的入口
墮ちた私の代わりに奴が
那傢伙大概是想替代墮落的我
箱舟に乗るつもりだったのだろう
去乘上方舟吧
バリーゾールの子供は一人っ子
巴利索爾的孩子是獨生子
だけど今ではもう二人っ子
但如今已成了雙生子
人の心に詳しい姉と
瞭解人心的姊姊與
人の身體に詳しい弟
熟知人體的弟弟
箱舟は黒い海を進む
方舟向著黑色的海洋進發
新たな楽園を目指して
以新的樂園為目標
二人の研究はいつの日か
兩人的研究終有一日
新たな人類を創るだろう
會創造出新的人類吧