落涙
石川智晶
落涙
餘計な戯言
浮かばないほど暗雲に
生きぬくことだけ
すべてを注いでいられたら
あたり前に登る月と太陽の下より
荒れた野原の風が性に合っている
戦えど戦えど終りなきものは
見るに堪えないここではなくて
人間の底にある救いがたい悪夢だけ
明日が我が身にないかもしれないこと
うすら寒い夜が
すり寄せそっと教えてきた
その覚悟なければ
出會うことのない本當の
脫ぎ舍てた自分の力に出會えない
慰めに口にする善悪をすべて舍てることで
殘された情熱のようなもの
強烈に見せつけて下さい
木々が揺れ
鳥は発ち
草の音が揺るぎなく
一斉にあなたへと流れだす
言葉少なにお別れしましょう
まだ乾いてない傷をちらして
無情に地へ向わせてる何か
一生かけてもその衝動は
私にはわからないでしょう
あなたを想いながらむせび泣く